【まとめ】飲食店開業に必要な届け出を一覧にしてみた[申請の手順と方法]

こんな疑問にお答えします

  • 開業に必要な届け出って何?
  • 何が必要?
  • 取得にはどのくらいかかる?

ズバリ!飲食店の開業に必要なのは以下の3つです。

開業に必要な届け出
  • 飲食店営業許可書
  • 防火管理者選任届
  • 個人事業主の開業届出書

その他にも、法人化した場合や開業の形態に応じて必要な届け出は以下の通り。

形態に応じて必要な届け出

✅深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
✅菓子製造業許可
✅風俗営業許可
✅酒類販売業免許

従業員を雇入れる場合

✅労災保険の加入手続き
✅雇用保険の加入手続き
✅給与支払事務所等の開設届出書

法人化した場合

✅法人設立届出書
✅青色申告承認申請書

悩む人
ぼく
このようにまとめてみると…
届け出だけで一苦労ですね。

事業の規模にかかわらず、飲食店ですので衛生上の問題や、人が集まる場所となるための万が一の想定が必要。

保健所や消防署の許可を得ながら知識としても必要な対処を覚えていきましょう。

今回はこの面倒な事務手続きについて詳しく解説していきます。

目次

飲食店営業許可書の取得方法

飲食店営業許可書

飲食店営業許可書は保健所で申請します。

申請は、事業を始める所轄の保健所となります。

許可書交付までの流れ

手順

まずは事前相談。申請に必要な物は?

施設の工事着工前相談です。

事前相談なしで工事が完成してしまうと、最悪の場合、工事のやり直しが必要となります。
とは言え、飲食店設営の経験ある施工業者ならば、必要な設備の準備はしてくれます。

可能であれば、相談時に申請に必要な書類も持参できるとスムーズです。

  1. 営業許可申請書1通
  2. 施設の構造及び設備を示す図面(平面図に機器名を書いたものなど)2通
  3. 食品衛生責任者の資格を証明できるもの(調理師免許など)
  4. 水質検査成績書(一年以内のもの)1通
    →貯水槽使用水(タンク水)や井戸水等を営業上使用する場合
  5. 許可申請手数料
  6. 法人の場合は、法人の登記事項証明書1通

営業許可申請書

営業許可申請書は所轄の保健所や各地域のWEBサイトよりダウンロードできます。
「営業許可申請書 ○○市」などで検索してみてください。

食品衛生責任者の資格

食品衛生責任者の資格を証明できるものが無い場合は、事前に取得する必要があります!
詳しくは別記事内で解説していますのでこちらをごらんください。
【独立】飲食店の開業に必要な資格は?経営者に資格はいらない!

水質検査成績書

もし、貯水槽使用水(タンク水)や井戸水等を営業上使用する場合は水質検査が必要となります。
水質検査成績書とは、厚生労働大臣の登録を受けている機関が行っている水質の検査結果です。

水質検査成績書はどこに依頼したらいいか?
  • 建物を管理する大家さん
    もしくは不動産業者から水質検査成績書をもらう
  • 水質検査を行っている検査機関に依頼する

そもそも、お店で使用する水が、貯水槽を使用しているのか、井戸水を使用しているのか分からないことも多いのではないでしょうか。
物件を管理している大家さん、もしくは不動産業者に尋ねてみるようにしましょう。

水質検査は年一回以上行う必要があり、水質検査成績書をきちんと保管しておく義務があるからです。
飲食店営業許可のために申請する水質検査成績書は、1年以内のものでなければなりませんが、検査しているはずですのでもらうといいでしょう。

自身で水質検査を行わねばならない場合には、検査機関に依頼しなければなりません。
東京や近郊であれば、一般社団法人東京都食品衛生協会 東京食品技術研究所がおすすめの検査機関です。
依頼してから一週間程度で水質検査成績書を受け取ることができ、費用は6,000円程度となっています。

飲食店営業許可書が取れない場合もある

飲食店営業許可書を申請する人が欠格事由に該当すると、申請できません。

欠格事由とは?

具体的には、許可を申請する人が過去に食品衛生法に関して処分を受けたり、営業許可を取り消されて2年が経っていない場合は許可を取得することができません。
法人の場合には、役員の1人でもそのような事項にあてはまる場合には許可を取得できません。

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防火管理者選任届出書

防火管理者選任届

防火管理者選任届出書は消防署に申請。

申請は、事業を始める所轄の消防署となります。

申請までの流れ

手順

事業所を使用する7日前までに。申請時に必要なものは?

「防火管理者選任届出書」を申請する際には「防火管理に係る消防計画」と「消防計画作成届出書」も併せて届出るのが一般的。

届出は事業所を使用する7日前までに行いましょう。

ですので、必要なものは以下の4点です。

  1. 防火管理者選任届出書 2通
  2. 防火管理に係る消防計画 2通
  3. 消防計画作成届出書
  4. 防火防災管理講習修了証

防火管理者選任届出書がいらない場合もある

飲食店や物品販売店舗など不特定多数の人が出入りする用途(特定用途)がある建物で収容人員が 29 人以下のもの
30人以上の収容できる施設ならば必要となります。

共同住宅、倉庫、事務所などの用途(非特定用途)の建物で収容人員が 49人以下のもの
50人以上の収容できる施設ならば必要となります。
→ 社会福祉施設等が入居している場合には 10人以上の収容人員で防火管理者が必要となる場合があります。

防火管理者選任届出書

防火管理者選任届出書は所轄の消防署のWEBサイトより基本はダウンロードできます。
「営業許可申請書 ○○市」などで検索してみてください。

※書式のフォーマットのダウンロードができない場合は、消防署に赴き届出書を貰いましょう。

記入例も併せて貰う事ができますし、WEBサイトでも解説されています。

記入内容は大きく分けて3つ

  1. 届け出る本人の名前と防火・防災どちらの管理者に関する届出なのか
  2. 届出る防火対象物の詳細
  3. 選任・解任する防火管理者の詳細
書き方をもう少し詳しく知りたい方は「+」をクリック
①届け出る本人の名前と防火・防災どちらの管理者に関する届出か

資格を有する人ではなく届け出る本人、つまり「管理権限者」の署名と押印が必要です。

②届出る防火対象物の詳細

届出る防火対象物について書いていくエリアです。

所在地や名称、用途といった基本情報に加えて甲種か乙種か、収容人数は何人か、といった情報も書き込みます。

特にわかりにくいのは「令第2条を適用するもの」と「令第3条第3項を適用するもの」の項です。

「令第2条を適用するもの」の項は同一敷地内に同一管理権原者が管理する複数の建物がある場合、棟ごとの名称、用途及び収容人員を記入します。

「令第3条第3項を適用するもの」の項は届出者の管理する事業所が、複数の管理権限者が管理する防火対象物で、乙種防火管理者でも管理できる場合、事業所の名称、用途と収容人数を記入します。

簡単に言うとテナントとして入る場合はここに記入が必要、ということになります。

③選任・解任する防火管理者の詳細

選任・解任する防火管理者について、氏名や生年月日、住所といった個人情報の他、防火管理者として選任された後の職務上の地位などを記入します。

職務上の地位とは、例えば「店長」「取締役」などの肩書のことです。

また、防火管理者になるために必要な資格についても記入する必要があります。

防火管理講習を受けた機関や修了年月日、講習以外の資格者の場合その資格内容を記入します。

解任する場合は解任理由も「転職のため」「退職のため」など具体的に書きましょう。

防火管理に係る消防計画

消防計画はそれぞれの防火対象物やテナントにおいて、ガイドラインを定めるものです。

→火災が発生しないように、また、万一火災が発生した場合に被害を最小限にするために職場の全員が守らなければいけない。

消防計画の作成例は消防署で教えてもらうか、WEBサイトでも閲覧できるので、参考にするといいでしょう。

消防計画の主な記載事項

✅自衛消防組織に関する事項。
✅防火対象物についての火災予防上の自主検査に関する事項。
✅消防用設備等の点検及び整備に関する事項。
✅避難通路、避難口、安全区画、防煙区画その他避難施設の維持管理及びその案内に関する事項。
✅防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関する事項。
✅定員の遵守、その他収容人員の適正化に関する事項。
✅防火管理上必要な教育に関する事項。
✅消火、通報及び避難の訓練その他防火管理上必要な訓練の定期的な実施に関すること。
✅火災、地震その他の災害が発生した場合における消火活動、通報連絡及び避難誘導に関する事項。
✅防火管理についての消防機関との連絡に関する事項。
✅増築、改築、移転、修繕又は模様替えの工事中の防火対象物における防火管理者又はその補助者の立会いその他火気の使用又は取扱いの監督に関する事項。
✅上記以外の防火対象物における防火管理に関し必要な事項。

消防計画作成届出書

消防計画を届け出る際に必要な書類が消防計画作成届出書です。

この作成届出書がないと、申請・承認されないので忘れないように作成しましょう。

防火防災管理講習修了証

選任した管理者の資格を証明できる防火防災管理講習修了証の提出が必要です。

講習を受講することで、資格保有となります。

この講習に関しても別記事で解説していますので、詳しくはこちらをごらんください。
【独立】飲食店の開業に必要な資格は?経営者に資格はいらない!

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個人事業主の開業届出書

個人事業主の開業届出書

個人事業主の開業届出書は、届出が義務付けられている書類。

出さなくても罰則はありませんが、節税対策である青色申告ができないので必ず届出ましょう。

申請は、事業を始める所轄の税務署となります。

また、銀行口座開設や事業用クレジットカードの申し込みなども屋号での手続きには、開業届の提出が求められます。

届出をしないと事業を営む上で折角のメリットがなくなってしまいます。

その他、個人事業主の開業に関連する書類
開業届以外の書類は、事業を営む条件に応じて届出・申請が必要で、人によっては提出が不要な書類です。

  • 都道府県税事務所へ提出する開業に関する書類
  • 青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

申請までの流れ

手順

申請時に必要なものは?

税務署への提出時には、マイナンバーカードでなりすまし防止のための本人確認が必須となります。
→マイナンバーカード以外でも可能ですが、個人番号記載の住民票や運転免許証などの身分確認書類は必要です。

また、記入内容の不備・書き直しや押印漏れがあったときのために、印鑑を用意して赴きましょう。

  • 個人事業主の開業・廃業届出書
  • マイナンバーカード
  • 印鑑
  • 申請手数料

申請書のフォーマットはこちらからダウンロードをどうぞ。
個人事業主の開業・廃業届出書(国税庁)

申請期間は開業後1か月以内

申請期間は開業から1か月以内です。

提出期限が税務署の非営業日の場合は、翌営業日になります。

申請は郵送でも可能

郵送の他、税務署の時間外収受箱への投函でも提出できます。

その場合は、マイナンバーカードの表面と裏面のコピーなどを所定の台紙に貼って封筒に同封し、切手を貼った返送用封筒の同封も必要です。

マイナンバーカードのコピーを貼る所定の台紙は、下記の国税庁WEBサイトからダウンロードできます。
本人確認書類(写)添付台紙

一覧表でまとめてみました!

届出はどこに出す?

飲食店営業許可書 防火防災管理選任届 個人事業主の開業届出書
提出先 所轄の保健所 所轄の消防署 所轄の税務署
提出時期 工事着工前に図面持参で相談 事業所を使用する7日前までに 事業開始から1か月以内
必要物
  1. 営業許可申請書
  2. 施設の構造及び設備を示す図面
  3. 食品衛生責任者の資格証明書類
  4. 許可申請手数料
  5. ※水質検査成績書
  6. ※法人の登記事項証明書
  7. 印鑑(念のため)
  1. 防火管理者選任届出書
  2. 防火管理に係る消防計画
  3. 消防計画作成届出書
  4. 防火防災管理講習修了証
  1. 個人事業主の開業・廃業届出書
  2. マイナンバーカード
    ※番号記載の住民票&本人確認書類でも可
  3. 申請手数料
  4. 印鑑(念のため)
必要な資格 食品衛生責任者の資格
・食品衛生責任者講習修了証
・調理師免許…など
防火防災管理講習修了証 なし
その他関連書類
  • 防火管理に係る消防計画
  • 消防計画作成届出書

は選任届時に併せて提出となる

  • 都道府県税事務所へ提出する開業に関する書類
  • 青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • 法人設立届出書

その他の申請について

営業形態に応じて必要な届け出は以下の通りです。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

深夜帯である午前0時~午前6時にかけて、酒類の提供を主とする飲食店には必要。

所轄の警察署で受付。

菓子製造業許可

手作りのお菓子やパンなどを販売するために必要。

テイクアウトでの販売に必要なだけで、飲食店のメニューでとして店内飲食でのみ提供の場合は不要です。

所轄の保健所で受付。

風俗営業許可

スナック、パブ、クラブ、キャバレー、ゲームセンター、マージャン店などを開業するのに必要。

「1号~5号営業」及び「特定遊興飲食店」に分類され、お客様に対して接待をする場合には「1号許可」が必要になります。

所轄の警察署で受付。

酒類販売業免許

自ら酒類を販売することのほか、代理業及び媒介業までを含めた事業形態を運営する場合には必要。

具体的には、「お酒の容器を開栓して提供するか未開栓のままで提供するか」になります。

一般的に、飲食店では樽やボトルの栓を抜いてお酒を提供しますが、それに準じない未開栓のまま販売するのに酒類販売業許可が必要となるのです。

所轄の税務署で受付。

特例適用混和の申告手続き

自家製の漬け込み酒を提供する場合に必要。

具体的には、「レモンを漬け込んだ焼酎」などです。

所轄の税務署で受付。

従業員を雇入れる場合

開業時に従業員の雇入れを行う場合に申請が必要となります。

✅労災保険の加入手続き→所轄の労働基準監督署

✅雇用保険の加入手続き→所轄のハローワーク

✅給与支払事務所等の開設届出書→所轄の税務署

✅健康保険・厚生年金の加入手続き→所轄の年金事務所

まとめ

さいごに

いかがでしたでしょうか?

開業するために必要な申請は3つ

  • 飲食店営業許可書
  • 防火管理者選任届
  • 個人事業主の開業届出書

となりますが、申請時に必要な資格もあり計画的に準備していく必要があります。

資格は、受講するだけで取得できますが、予め受講日がさだめられており、タイミング次第では大きく計画から遅れる場合も想定できます。

なので、まず資格の取得に動くか、資格保持者の獲得に励んでみてください。

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